6−集落境(道祖神・人形道祖神・道切り)
これも民俗宗教と言えるのですが、集落で起きる悪事や疫病などは、外部からが進入してくるものだと考えられてきました。そこで集落の境にはそれらを防ぐ為、呪術的な結界を張りました。一般的には道を司る神である道祖神を配しますが、似たような意味合いから庚申塔や馬頭観音、青面金剛、塞ノ神、猿田彦神、金勢様など多くの種類の石碑があり、集落の宗教観や当時の社会情勢や考え方などでその傾向は異なります。秋田県内で特徴的なのは人形道祖神で「鹿島様」や「仁王様」、「鍾馗様」など地域で呼び方は異なりますが、一般的には藁で作られた大型の藁人形を集落境に安置させ、それらの侵入を阻止するといった例を見かける事が出来ます。又、人形道祖神は子孫繁栄の要素も含でいる集落もあり刀や薙刀以外でも男根や女陰を模る所もあります。由利本荘地域では人形道祖神は見られず、藁で作られた大きな蛇が集落境にある大木に巻き付け、民俗学的には「道切り」と呼ばれています。竜や蛇は水神とも考えられ、火災などの惨事も集落に及ばないよう祈願しました。これも道祖神同様に集落の結界神の一種と考えられます。
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