山門内部
神社山門には様々な神物が奉納されます。前述したとおり、神社山門には鳥居など同様に一般領域と聖域とを分ける結界門として意味合いがあり、神社の狛犬に相当する金剛力士像や仁王像が安置されたりします。当然、参拝者はこの山門を潜ることで聖域を意識し、本殿が近い事を悟ります。その為、山門自体を神格化している例が幾つか見られ波宇志別神社では山門を仁王門神社と呼ぶ人もいます。奉納物も様々で大わらじ以外でも横手市醍醐の八幡神社では米俵や重石など奉納されています。又、長床と呼ばれる神楽殿や舞殿の機能を持つ山門や神官の居住の機能を持つ六日町の八幡神社のケースもあります。
(1)金剛力士像- | 基本的に仁王門に鎮座し、左右に「阿」「吽」の2体あります。寺院建築の山門に見られる金剛力士像と同じ意味合いで、神社の御本尊を守っています。秋田県内に見られる金剛力士像や仁王像は京都や奈良といった、所謂中央のものとかなり雰囲気が異なり、その朴とつした風合いは秋田県の県民性を現したいるかのようです。下記にある写真以外でも大国主神社や波宇志別神社、小沼神社、戸波神社の仁王像にも同じ事が言え地域の彫刻の特色と言えます。
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(仁王像) |
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(2)大わらじ− | 基本的に仁王門にあり金剛力士像や仁王像とセットになっている場合が多いです。大わらじには悪霊退散や旅の安全祈願、厄除けなどの意味が込められていて複数のわらじが奉納されている事もあり山門自体が神格化されている場合もあります。大わらじが奉納れる波宇志別神社の仁王門は仁王門神社と呼ばれ、横手市醍醐にある八幡神社や同市の旭岡山神社にもわらじが奉納されています。
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(3)神馬− | 基本的に随神門内部に鎮座しています。通常、神社の境内に小さなお堂を建てそこに奉納するのですが、峰吉川の高寺観音堂は高寺観世音(馬頭観音)が祭られていたことで馬が神格化され、数体の神馬が山門に奉納されています。西馬音内の御岳神社などでは奉納された神馬の股をくぐると子供の疱瘡が治ると信じられていました。
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(4)お宮− | 山門内部に他の神様(神社)が合祀されています。旧南外村の勝軍山神社では向かって右側が黒白稲荷神社、左側が三吉神社が祀っています。又旧大森町の釣瓶山八幡神社では向かって右側が雨の宮、左側が風の宮を祀っていて周辺地域からも信仰の対象となり雨乞い祈願などが行われていたそうです。
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(5)随神− | 随神とは本殿に祭られている主神に随行している神様の事で、主神を守護するという役割を持っています。その為、随神門に安置され境内に主神に害をなすものを防いでいるのです。全国的にみると神仏分離令が発令する前は仁王像を祭っていた場合も多かったと言えます。随神は武装した武人に模られており、左大神などと呼ばれています。
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