禅林寺(にかほ市院内)概要: 禅林寺の創建は平安時代初期の天長年間(824〜833年)と云われています。当初は真言宗の寺院で、迦葉庵と称していましたが、平安時代後期の応徳2年(1085)に由利太郎維安が中興し、南北朝時代に直翁呈機(石川県金沢市:大乗寺の高僧)が曹洞宗に改宗し寺号を「賀祥山禅林寺」に改められています。中世には由利十二頭の1人で仁賀保一帯を支配した大井氏の菩提寺になると寺領50石を安堵されるなど庇護された事で寺運が隆盛し末寺12ヵ寺を擁する当地域を代表する大寺院に発展しました。大井氏は後、仁賀保氏と改名し戦国末期には豊臣家から朱印状を賜り、由利5人衆にも数えられ、関ヶ原の戦いの折には東軍に組した最上氏に従った為、一万石に加増され大名となりました。山根館から塩崎城(象潟)に本城を移しましたが、直系が廃絶し、2・3男が平沢に仁賀保陣屋を構えました。
禅林寺はその後慶安4年(1651)に現地に境内に遷しています。火事等があり現在の本堂は明和4年(1767)に建てられた建物で、木造平屋建て、入母屋、銅板葺き、平入、正面軒唐破風、外壁は真壁造白漆喰仕上げ。山門は入母屋、桟瓦葺き、三間一戸、桁行3間、張間1間、左右には仁王像が安置され、正面には「賀祥山」の山号額が掲げられています。禅林寺の門前には寒沢川が流れていて、欄干の付いた朱色の橋がとても印象的で、境内も威厳がありつつ開放的な空間になっていて仁賀保挙誠と大井友挙(仁加保氏初代)の墓碑が建立されています。禅林寺は寺宝が多く、地蔵尊木像(12躯)、古仏木像(1躯)、十王像(10躯)は貴重な事から昭和49年(1974)ににかほ市指定有形文化財(彫刻)に指定されています。山号:賀祥山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦如来。
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