秋田人形道祖神 〜 秋田県の民俗学の原点を求めて 〜
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[ 上写真は湯沢市岩崎集落の道祖神 ] |
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人形道祖神の概念
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(1) −人形道祖神とは
秋田県には様々な民俗信仰の文化が残っています。この人形道祖神もその1つで鹿島様や仁王様(草仁王)、ショウキ様などと呼ばれています。人形道祖神は主に東日本の民俗信仰として残っているのですが、これだけ多くの種類や数があるのは他県にはなく秋田県の誇れる文化的財産と云えます。人形道祖神は藁や木などで人形を造り、中には4mを越えるものも散在しています。基本的に集落の境にあり道祖神と同じような意味をもつと言われ、よそ者や悪霊、穢れている体の人、疫病などの侵入を防いだり清められると考えられてきました。又、様々な民俗信仰と混合し、岐の神などの道中安全や子孫繁栄(男根などが強調される理由の1つ)、縁結びなども信仰の対象となりました。このサイトでは主に秋田県内にある人形道祖神をピックアップしていきますので民俗学や民俗信仰、道祖神に興味のある方は御覧になってください。
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(2) −人形道祖神のタイプ
秋田県には様々なタイプの人形道祖神が存在し、現在も人々の信仰の対象になっています。大型のものから、小さなもの、形を変えたものなど多種多様です。そこで大きく7つに分類し、形や素材、名称、安置されている場所などを検討していきたいと思います。※ 下記の道祖神のタイプ分けは便宜上分けているだけで実際にその地域で呼ばれているものとは異なります。
1−鹿島様タイプ |
−全身藁で構成されている。比較的大型 |
−中央、南部山間 |
2−仁王面タイプ |
−元、鹿島様タイプで現在は面だけが残る |
−中央山間 |
3−大ワラジタイプ |
−元、鹿島様タイプで木に大ワラジと注連縄 |
−横手市醍醐 |
4−石の鹿島様 |
−石碑の上に藁の兜を着ける。1m以下程度 |
−湯沢市稲川町 |
5−木製鍾馗様 |
−全身木製で作られる。大型で衣変え無し |
−不特定 |
6−人形様タイプ |
−小型で1.2〜1.5程度 |
−北部沿岸、山間 |
7−藁大蛇タイプ |
−藁で出来た大蛇「道切り」の為、参考 |
−南部沿岸 |
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写真をクリックすると各道祖神の詳細が見られます。 |
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(3) −人形道祖神の名称
人形道祖神を「鹿島様」=「鹿島信仰」=「鹿島まつり」と思っている人は多いと思います。確かに湯沢市岩崎の鹿島様のインパクトが非常に大きいのですが、本来の道祖神は道を司り集落を守る神であるという考え方から広義的な意味に広がり庚申塔や馬頭観音、猿田彦神など様々な神(民俗信仰)が道祖神の一形態として信仰されるようになりました。ようは特定の神様が集落を守るという信仰ではなく、自分達がどの神様に守ってもらうのかを選ぶ事で鹿島様だったり仁王様や鍾馗様など地域によって偏りますが基本的に集落ごとに変わってくるのです。福島県では久比毘古命の例もあります。
1−鹿島様 |
−鹿島神社の際神、武甕槌神(鹿島大明神)は武神として信仰。 |
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2−仁王様 |
−寺院内から仏敵を防ぐ守護神。名称は集落ごと異なる。 |
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3−鍾馗様 |
−道教系の神として魔除けや厄除け邪気を祓う力があるとされた。 |
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4−ジンジョ |
−地蔵様の訛り。菩薩の1人で、弱者救済、罪業成仏などの霊験有。 |
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5−ドンジン |
−道祖神の訛り。道を司り集落守護、子孫繁栄、道中安全などの神様。 |
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6−人形様 |
−姿形から呼ばれていると思われます。一般的に人間より小さい。 |
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(4) −人形道祖神の地域分類方法
人形道祖神を分類するにあたり地域によって大きく形態が異なることが分かりました。そこで秋田県を6つの地域にブロック化した方がより理解してもらえると思い以下のように分類しました。上記の表もこの分類に従っています。又、未調査部分も含まれますのでよろしくお願いします。 ※ 青字をクリックすると各地域の道祖神が見られます。
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