7 −藁大蛇タイプ(道切り)
藁大蛇タイプは民俗学上は道祖神のカテゴリと若干ことなり「道切り」や「辻切り」などと呼ばれる分野になると思います。しかし広義では道祖神も「道切り」の一種とも捉えられ、各人形道祖神との比較にもなる為、ここで取り上げます。藁大蛇タイプは字のごとく藁で作られた大蛇で、集落境に配置され、悪霊や疫病の侵入を防ぐ役割を持っています。南部沿岸地域に見られる形態で(個人的は探し切れていないのかも知れませんが個体数はかなり少ないと思います。)逆に同地域での人形道祖神の姿が見受けられません。中世、近世(江戸時代)をとおして、この地域は支配者が異なり、秋田県内の他地域との文化的交流が比較的薄い所と考えられます。そこで、独自の文化が随所で見られ、興味深い地域となっています。藁大蛇タイプは3つタイプに分類されます。又、参考に高屋集落の山を越した所にある船打場集落にある「道切り」の写真も掲載します。想像ではありますが、この集落でも当時は藁大蛇があったと思われます。現在では集落上下に木柱を建て、ナワを結び下に安全祈願をする御札が掲げられ、どんどん簡略化された形なのかもしれません。
1−藁大蛇タイプA |
−道祖神タイプ、集落境(2箇所) |
−南部沿岸東由利町宿 |
2−藁大蛇タイプB |
−道切りタイプ、道路を横切る長さ |
−南部沿岸東由利町黒渕 |
3−藁大蛇タイプC |
−集落境にある神社の境内に鎮座 |
−南部沿岸旧大内町岩谷麓 |
藁大蛇タイプAは人形道祖神と同様、集落境に立ち、基本的に集落の進入口全てに配置されます。3m以上の長く木に巻きついて、道路側を向いて威嚇しているように見えます。頭には柊の角を着け一種の魔除けのような存在です。藁大蛇タイプBは所謂「道切り」でまさしく道路を遮断するように配置されています。道祖神的な役割と同時に龍神信仰と混合したのか、火災防止の神としても信仰されているようです。藁大蛇タイプCは集落境に鎮座している神社の鳥居近くにあり「竜の注連縄」と呼ばれています。集落に対しての道祖神と神社の守り神的要素が組み合わさっています。
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