5 −木製鍾馗様(ショウキサマ)タイプ
人形道祖神は通常藁で構成されている場合が多いのですが木製鍾馗様タイプは、全身が木製で作られています。鹿島様タイプAからBへ移行したようにそれを製作するには、かなりの手間と時間がかかり、後継者育成などの問題もあります。この木製鍾馗様タイプはある意味人形道祖神の進化系とも言え、年中行事でもある藁の衣替えがなく、一定期間は腐敗する心配もありません。進化系の為、大きさも比較的大きな感じを受けます。調査に限界がある為、現在は特に地域的なものは分からず意匠的にも製作者の個性等を考えるとはっきりとは分析出来ません。その時々の集落の考え方や金銭的問題などが多大に影響したと思われます。
左の写真は大仙市長野にある鍾馗像(鍾馗様)、集落境に社状の建物内部に鎮座しています。中心の2枚は大館市花岡のショウキ像、本来集落境に鎮座するはずの人形道祖神が神社の仁王像のようになっています。当然、神社に仁王像があることは、仏式を取り入れた神仏混合様式で人形道祖神が様々な意味合いを持ちながら、人々の生活に入り込んでいったものと考えられます。一番左の写真は能代市二ツ井町小掛の鍾馗様で、他の3例とは異なり、顔、骨組みは木製で、杉の葉で体を覆っています。鹿島様タイプと木製鍾馗様タイプの中間とも言え、衣替えが必要となってきます。人形道祖神にとって衣替えという行為は「ケガレ」を祓う事など重要な意味を持ち、民俗行事(年中行事)として集落に組み込まれています。
|