建築力士像の容姿から見る地域性の考察
(1) 容姿別集計結果
(1) 胡坐型− 52箇所 − 52/144*100= 36.11%
(2) しゃがみ型−19箇所 −19/144*100= 13.19%
(3) 片膝型− 26箇所 −30/144*100= 20.83%
(4) 正座型− 12箇所 − 12/144*100= 8.33%
(5) 片足型− 4箇所 − 4/144*100= 2.78%
(6) 片手支え型− 18箇所 − 18/144*100= 12.5%
(7) 両手支え型− 3箇所 − 3/144*100= 2.08%
(8) 腕組型− 6箇所 − 6/144*100= 4.17%
(9) 不 明− 22箇所 − 0/0*100= 0. %
調査総数−166−22=144体
集計結果より考察
以上の結果より力士像は秋田県内では胡坐をかいている格好が一番多く36.11%だということが分かりました。次いで片膝を立てているタイプが20.83%で、腕の格好では片手で屋根の隅木を支えているタイプが12.5%という結果でした。全体の87.5%の力士像は腕で屋根を支えるのではなく背中から首にかけて支えています。力士像の基本形は胡坐で首あたりで屋根を支える形が一番多いようです。
(2) 地域別容姿別集計結果−南部沿岸部
(1) 胡坐型− 3箇所 − 3/16*100= 18.75%
(2) しゃがみ型−5箇所 −5/16*100= 31.25%
(3) 片膝型− 4箇所 −4/16*100= 25.0%
(4) 正座型− 0箇所 − 0/16*100= 0.0%
(5) 片足型− 0箇所 − 0/16*100= 0.0%
(6) 片手支え型− 4箇所 − 4/16*100= 25.0%
(7) 両手支え型− 0箇所 − 0/16*100= 0.0%
(8) 腕組型− 0箇所 − 0/16*100= 0.0%
調査総数−16体
集計結果より考察
以上の結果より南部沿岸地域の力士像は南部山間地域と比べるとしゃがみ型や片膝型の割合が高く下半身の格好に変化があると言えます。しかし、腕の動きを見ると全体の75%が首から背中で屋根を支える形であまり大きな動きを見る事は出来ません。力士像は太身型が多いのもこの地域の特徴で、力士像の体型と動作、容姿などと関係があるようです。
(3) 地域別容姿別集計結果−南部山間部
(1) 胡坐型− 41箇所 − 41/74*100= 55.41%
(2) しゃがみ型−2箇所 −2/74*100= 2.70%
(3) 片膝型− 11箇所 −11/74*100= 14.86%
(4) 正座型− 7箇所 − 7/74*100= 9.46%
(5) 片足型− 0箇所 − 0/74*100= 0.0%
(6) 片手支え型− 10箇所 − 10/74*100= 13.51%
(7) 両手支え型− 0箇所 − 0/74*100= 0.0%
(8) 腕組型− 3箇所 − 3/74*100= 4.05%
調査総数−74体
集計結果より考察
以上の結果より南部山間地域の力士像は胡坐をしている割合が55.41%と半数以上を占めています。片手支え型の中にも胡坐をしている場合がある為、下半身だけ見れば他を圧倒します。正座型は細身タイプの力士像が多い事から、太身の力士像の大半が胡坐をしていると言えます。腕の動きは小さく、変化があるのは片手支え型と腕組型をあわせても18%を越えません。
(4) 地域別容姿別集計結果−中央沿岸部
(1) 胡坐型− 4箇所 − 4/36*100= 11.11%
(2) しゃがみ型−11箇所 −11/36*100= 30.56%
(3) 片膝型− 9箇所 −9/36*100= 25.0%
(4) 正座型− 1箇所 − 1/36*100= 2.78%
(5) 片足型− 2箇所 − 2/36*100= 5.56%
(6) 片手支え型− 3箇所 − 3/36*100= 8.33%
(7) 両手支え型− 3箇所 − 3/36*100= 8.33%
(8) 腕組型− 3箇所 − 3/36*100= 8.33%
調査総数−36体
集計結果より考察
以上の結果より中央沿岸地域にある力士像はしゃがみ型が30.56%を占め一番多い形式になっています。片膝型も25.0%あり下半身が変化の富んだ格好をしているのが分かります。片足型なども見られ、彫刻大工がかなり自由な発想で製作にあった事が考えられます。腕の動きも25%の力士像がいて、分類した型以外のものを含めるとさらに数字が上がります。細身の力士像が多い事も影響していると思われ、デザインの構成上、手足が自由に彫りこめる状況にあったと考えられます。
(5) 地域別容姿別集計結果−中央山間部
(1) 胡坐型− 3箇所 − 3/18*100= 16.67%
(2) しゃがみ型−1箇所 −1/18*100= 5.55%
(3) 片膝型− 7箇所 −7/18*100= 38.89%
(4) 正座型− 4箇所 − 4/18*100= 22.22%
(5) 片足型− 2箇所 − 2/18*100= 2.86%
(6) 片手支え型− 1箇所 − 1/18*100= 11.11%
(7) 両手支え型− 0箇所 − 0/18*100= 0.0%
(8) 腕組型− 0箇所 − 0/18*100= 0.0%
調査総数−18体
集計結果より考察
以上の結果より中央山間地域の力士像は片膝型が38.89%を占め一番多い型となりました。腕の動きはあまり見られませんが、下半身は南部山間地域と比べ、大きく動きのある形になっています。特に玉川水系に存在するユニーク型の力士像は上記の分類に当てはまらないような形態をしていて、彫刻大工がかなり自由な発想で製作したものと考えられます。
以上の結果より地域によって力士像の容姿的なものに大きな特徴があることが分かりました。地域による文化の違いや、考え方が異なる事で、同じ力士像とはいえそれぞれの地域の個性が生まれることが証明出来たと思います。昨今のまちづくりを見ても横並びの政策が並び、どれも同じ様な町並みになってはいませんか?数十年前までは、自分達の地域を自分達が考えた結果、自分達の独自の文化が生まれていたのではないですか?
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